■ 電脳魔女の独言50 経正都落ち2012.10.19

 ある日の午後、居間のソファで目をつぶり、平家物語の
琵琶語りで経正の段を聞いていたら、途中から猫の鳴き声
が混じり始めた。
〜若き平家の経正はぁ〜弓矢の道もさることながらぁ〜
〜ニャーオ〜ニャーオォオ〜ニャオオオォン〜
 外を見ると沓脱ぎ石の上に、黒猫が行儀よくこちらを向いて
お座りしている。
猫といえども風流を解するとはなかなかのもの。お前にも
都落ちの辛さ哀しさがわかるのね。
黒猫は一曲終わるまで語りに合わせて鳴き続けたので、大いに
褒め称えてやった。

すると今度はガラス戸に伸び上がって前足を掛け、さらに何かを
訴える。そこで文明の利器ニャウリンガルで話を聞いてみると、
「腹が減ってるんだ。何か食い物をよこせ」
と言っていた。




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