■ 電脳魔女の独言53 俊寛 | 2012.10.25 |
数年前、テレビの深夜放送で人間国宝の舞踊家が、素踊りで俊寛を 踊っているのを見てから、ずーっと気になっていることがある。 俊寛と言えば平家打倒の陰謀が発覚し清盛によって鬼界ヶ島に流刑 となった三人の中の一人で赦免にあうことなく非業の死を遂げた僧侶だ。 何故、流刑になった三人の中で、俊寛だけが赦免されず島に置き去りに されてしまったのかしら? この話は歌舞伎や芝居、映画などで今でも繰り返し上演されるほど人気 の演目になっている。それにつけても?と思っていると、 揺り椅子で転寝していた猫のダークが不意に起き上がり大きな欠伸を ひとつしてギロリとこちらを睨み付けた。 え?何お前?その眼つき?突然ダークが野太い男の声で人語を喋り始めた。 「他でもない、儂があれを赦さなかったのは、僧侶でありながら天性不信 の者であったからよ。儂にはそれが憎く思えて赦し難かったまでの事。 後世の輩がどう言おうとも、仏に仕える者が不信などとあっていい筈も あるまいよ」呆気にとられてぽかんとしていると、ダークはくるりと回って 揺り椅子の上に丸くなり頭を隠してしまった。 もしかしたら今の声は清盛殿? |
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