■ 電脳魔女の独言56 きりぎりす絵巻2012.11. 1

 琳派・若冲と雅の世界と題する美術館を覗いてみたら、こちらの目
的とする若冲の作品は少々で、他はほとんど雅の世界でいっぱいとい
うちょっと残念な感じであった。と言いつつ眺めたところ、平家納経
のレプリカや蒔絵の道具類、掛け仏や数々の絵巻物があって、見てい
るこちらは楽しさ大爆発!
 中でも住吉派の祖といわれる住吉如慶のきりぎりす絵巻は圧巻だった。
玉虫姫と蝉の右衛門守の婚礼で失恋した螽斯と蜩が出家してしまうとい
う話で。虫を擬人化した絵が描かれている。花嫁の乗る牛車を蛞蝓が引
いていたり、足軽は蜻蛉で裃から4枚の羽が出ているし、御付らしい男
の着物の袖からは蟷螂の斧があの〜と言った具合に描かれていて、子供
から大人まで大いに楽しめる内容だ。
こんな面白い話が絵入で描かれたものを、どーして絵本として出版しな
いのかしら?
 我国の文化が劣化してしまうと嘆く前に、こういうものを絵本として
出版し、広く世に出すべきなんじゃないかしら。








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